橘綜合住宅は、1977年大手ハウスメーカーの営業に籍をおいていた私が、あるお客様の一言をきっかけに一念発起して始めた、小さな地元のハウスビルダーです。その一言とは、
「蜂谷さん、あなたは私に何を売りたいのですか? 柱が太い。自然素材を使っている。金物で緊結するから地震に強い。それは施主である私が出したお金で買える部材の話で、どの工務店でもできることでしょう。あなたから買うことで私が得られる利益は何ですか?」
漠然と「住宅」を販売していた私は、その一言で愕然となりました。確かに太い柱を使ったり、高価で最先端な住宅設備機器を導入したりすることは、すべてお客様の予算でどの工務店でもできるでしょう。
しかし、その一言から私の住宅づくりに対する考え方は変わりました。橘綜合住宅にしかできない住まいの付加価値、それを求めてエアサイクル住宅や、断熱パネル工法のグループや講習会に参加してはみたものの、答えは見つかりませんでした。
そんな時、友人と訪れた北米の一軒の住まいが私の住宅づくりを大きくかえるきっかけとなりました。訪れた住まいは、家族が4人で暮らす北米では一般的な住宅。しかし全室暖房、いわゆるセントラルヒーティングです。聞くと北米ではほとんどの住宅が、セントラルヒーティングだというではありませんか。
日本ではその燃費の悪さから、オイルショック以降最も嫌われた設備で、忘れかけられていたものでした。しかしその快適さといったら何ものにかえがたく、また築100年や200年の住宅が、いまだ利用されているその耐久性に驚き、軽いカルチャーショックを受けました。
構造はどちらも木造なのに、築20年前後で建て替えられる日本住宅の耐久性との差は何が要因なのか。そこから私の試みが始まりました。
木造住宅の耐久性は、構造体が木材であることから、「木が腐らないこと=腐る原因の木材腐朽菌がない=湿気がない=結露がない」ことです。ではどうしたら結露のない住まいをつくれるのか。
結露は温度差によって発生します。だから住まいの中に温度差がないことが必要になります。そのための全室暖房、それも「省エネで全室暖房」住宅。これが基本コンセプトになりました。ランニングコストの低い全室暖房を提供するためには、住宅の断熱性と気密性を高めることが最も必要なことで、断熱手法は職人の技術に左右されることが少ない外断熱工法を採用。それが後のティーズシステムです。
全室暖房住宅の実験棟としてモデルハウスを建て検証してみると、建物の耐久性やそこに住まう人の健康にもよい環境であることがわかりました。以来20年間、外断熱工法ティーズシステムの住宅だけを提供し続けています。しかし外断熱工法に切り替えた当時は、外断熱工法を知る職人は皆無といった時代です。おのずと販売価格は高額となりましたが、私たちの考え方に共感いただき契約されたお客様がおられたからこそ現在の当社があります。その思いに応えるべく職人と試行錯誤を重ねながら、一方で気密測定を行いその性能を確かめながら一棟一棟心をこめて建ててきました。
時代は移り変わり今や、性能や耐久性の代名詞のように外断熱工法が脚光を浴びています。しかし評判だけが一人歩きしているようで、危うい感さえもっています。決して外断熱工法であればいいのではありません。気密性能や換気システム、それ以外のさまざまな要素が絡み合い、はじめて耐久性の高い住まいとなります。そこには、長年作り続けてきたからこそ言える自負があります。
当社のスタッフは常に「築100年、木の住まい」づくりを目指し、「省エネで全室暖房住宅」以外の住まいは一切建てないという基本姿勢を守り、常にお客様の立場に立った住まいづくりの実現を目指しています。そしてそれを基本に、自然素材を使ったり、自然エネルギーを活用したり、地球環境のこれからを考え細部にわたってお客様と話し合いながら予算や間取りを作り上げていきます。
すべてはお客様の笑顔に出会えるよう、住宅の耐久性を高めるために、私たちにできることから始めます。
これが橘綜合住宅の住まいづくりです。
株式会社橘綜合住宅 代表取締役 蜂谷 武夫

















